自分でやれば「修正」、税務署に見つかったら「決定」

申告をやり直す男性

税金の計算方法について、わが国では一般的に申告納税制度が採用されています。
これは納税者が税務署へ申告することにより税額を確定させる制度のことです。
例えば所得税、法人税、相続税などが代表的な申告納税による租税制度となります。
ただし当初の申告で税額を間違ってしまった場合、その誤りを訂正しなければなりません。
これに関する納税者側の手続きが「修正申告」「更正の請求」であり、税務署側の手続きが「更正」「決定」となります。

手続きの時期で異なる「訂正申告」と「修正申告」「更正の請求」

申告内容を間違えていた場合には、その税額を訂正しなければなりません。
次に挙げるものは、納税者自らが行う是正手続きです。

・申告期限内に訂正する場合には「訂正申告」、つまり確定申告のやり直しとなります。
・申告期限後に訂正する場合には「修正申告」、「更正の請求」となります。

申告期限内に行う手続き「訂正申告」とは

訂正申告とは、確定申告の期限内に修正を行う場合を指します。
通常税務署では同じ納税者から申告書の提出が複数あった場合に、最後に提出されたものを採用するようになっています。
つまり訂正申告の手続きといっても確定申告と特に変わったことはなく、修正したものを提出すればよいということです。
ただし所得税申告の場合、所得控除の証明書や医療費の領収書などの添付書類を当初申告で提出済みのことが多いと思います。
その場合収受印のある当初申告の控えをコピーして添付します。
また表題の余白部に赤字で「訂正申告」と明記しておくとわかりやすいです。

また訂正申告については、先に還付申告を行っていた場合ですでに処理が行われている場合には受付できない場合があります。
まずは所轄の税務署に問い合わせをしましょう。

申告期限後に行う手続き

これに対して申告期限後に訂正する場合の手続きとして、納税者が本来支払うべき税額より少なく納税した場合には「修正申告」を、本来支払うべき税額より多く納税した場合には「更正の請求」を行います。
納税者が損をしているときには「更正の請求」をする、と覚えておくとよいでしょう。

なおこれらは納税者が自主的に行うものであり、本来は修正後の不服申立てはできません。
ただし平成23年度税制改正により更正の請求ができる期間が、法定申告期限から原則として1年間から5年間に延長されました。
修正申告書を提出しその内容に誤りがあった場合においても、更正の請求期限内であれば更正の請求を行いこれに対する却下という行政処分を受けることで不服申立てを行うことが時間的に可能となりました。

修正申告とは

修正申告とは納税者が税額を実際よりも少なく申告していた場合、あるいは還付される税金が多かった場合に行う手続きのことです。
間違いに気づいたら、早めに修正申告を行いましょう。

修正申告の場合は、追加で納める税金に対して更に延滞税が発生します。
納付期限後から発生する延滞税の税率は原則として(注1)年7.3%ですが、納付期限の翌日から2か月を過ぎると原則として(注2)14.6%まではね上がるので注意が必要です。

(注1)平成30年中は年2.6%
(注2)平成30年中は年8.9%

また税務署からの指摘の後に修正申告を行った場合には「過少申告加算税」も課されます。
これは追加で納める税金の5%~15%に相当する額となります。従って、間違いに気づいたら放っておかないで速やかに修正申告を行いましょう。

修正申告の事例としては、例えば以下のケースが考えられます。

・個人で自営業をしているAさんは、申告期限までに申告納税を行いました。
しかし申告期限を過ぎた後、申告をしていない売上があることに気づきました。
このままでは実際の売上よりも少なく申告しているため、修正申告が必要です。

・B法人は申告期限までに申告納税を行いました。
しかし減価償却費を誤って計算しており、本来納めるべき額より60万円少なく納税していたことがわかりました。このままでは納めた税額に不足が生じるので修正申告が必要です。

修正申告の方法

修正申告では税務署に「修正申告書」と、必要な場合には追加書類を提出します。
「修正申告書」は税務署に取りに行くか、国税庁ホームページからダウンロードをすることで入手できます。
訂正前の金額と訂正後の金額をそれぞれ記入し、税務署に提出しましょう。

申告した内容により追加書類なども変わってきますので、税務署に直接確認することをお薦めします。

なお修正申告に期限はなく、税務署からの指摘を受けるまではいつでも何回でも修正が可能です。
ただし税務署から指摘されてからの申告になると過少申告加算税が課されますので注意が必要です。

更正の請求とは

更正の請求は納税者が税額を実際よりも多く納付していた場合、あるいは還付される税金が少なかった場合に行う手続きのことです。
更正の請求に該当するのは、例えば以下のようなケースです。

・個人で事業を行っているCさんは申告期限までに所得税の申告納税を行いました。
しかし申告後に経費の請求書・領収書などが見つかったため、申告した税額よりも所得が少なくなることが判明しました。
更正の請求を行えば、納税額は減らすことができます。

・サラリーマンのDさんは、医療費控除を受けるために所得税の確定申告をして所得税の還付を受けました。
ところが申告後に本人以外の家族分の医療費の領収書があることに気づきました。
この医療費を加えて更正の請求を行えば、還付金が多く受け取れます。

更正の請求の方法

更正の請求をする際には「更正の請求書」や、その更正の請求の理由となる「事実を証明する書類」が必要となります。
「事実を証明する書類」とは、例えば経費の計上漏れであった場合にはその請求書・領収書などが該当します。

「更正の請求書」は税務署に取りに行くか、国税庁ホームページからダウンロードをすることで入手できます。

更正の請求書を作成し必要書類を添付したうえで税務署に提出します。
支払い過ぎた税金は更正の請求書を提出後、更正の請求書に記載した銀行口座に返金されます。

なお更正の請求は法定申告期限から5年以内に行う必要があり、原則としてそれを過ぎると請求できなくなりますので注意が必要です。

税務署が行う「更正」と「決定」

更正と決定は、税務署が申告納税について行う処分のことです。
処分内容に不服がある場合には、納税者は不服申立てができます。

申告書の提出があれば「更正」

納税者が申告書の提出をしたうえで、その後に税務署が税額を修正する場合の手続きが「更正」です。
税務署が申告書を確認したうえで徴収した税金が過大であったり過小であったりした場合に、本来の適正な額に直す手続きです。
更正には増額更正と減額更正の2つがあります。

申告をしていなければ「決定」

申告期限後に税額を修正する場合の手続きが「決定」です。
つまり、納税者が申告書を申告期限までに提出せずに無申告であった場合には「決定」の手続きとなります。

申告義務のある人が申告や納税を行わない場合、税務署が独自の調査によりその人の納めるべき税額を決定します。

おわりに

申告納税の訂正には様々な手続方法があります。
納税者が行う手続きが「訂正申告」「修正申告」「更正の請求」、税務署が行う手続きが「更正」「決定」です。
申告納税は正確に行いたいものですが、間違いを訂正することは決して悪いことではありませんので修正が必要となった場合にはきちんと行うことにより必要以上の税金を支払わずに済むことにもなります。

 

(執筆 竹内英夫)

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