「消費税は免税事業者だけど、実は還付を受けた方が良かった」
「気が付いたら決算日を過ぎていて、消費税の届出書が間に合わなかった」
税金の計算で一番多い失敗が、消費税の払い過ぎや還付のもらい忘れです。
消費税の計算については、平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度から、納税義務の判定に特定期間に関する要件が追加されました。
今回は特定期間の要件と、その要件を賢く利用する事例を紹介したいと思います。
免税事業者になるには
社長、こんにちは。
御社も3期目に入りましたが調子はいかがですか?
最近うちの商品が免税店で売れ始めてね。
時期によっては、国内販売よりも売上が多い月もあるよ。
そうですか。
免税店での販売や輸出売上が増えてきたら、消費税について考えてみる必要がありますよ。
ん? 1期目の売上が1,000万円以下だから、今期も免税だと思ったんだが。
実は免税事業者の条件は、1期目(基準期間)の売上だけではないんです。
一度、特定期間についても判定する必要がありますね。
トクテイキカン?
特定期間って何?
御社の場合、基準期間は前々期(第一期)ですが、特定期間は前期(第二期)の上半期に当たります。
基準期間の課税売上高が1,000万円以下で、かつ、特定期間の課税売上高が1,000万円以下の場合に、
消費税が免税になるんです。
つまり、前々期の売上は900万円だが、前期上半期の売上が
1,200万円だから、今期は免税にならないということだな。
そうなんです。
ただし特定期間の課税売上高に代えて、
特定期間の給与等支払額の合計額により判定することもできます。
すると、前期上半期の給与等支払額は300万円だから、
結局のところ免税と判定できるということか。
おっしゃる通りです。
脅かさないでくれよ。
今期から消費税を払わないといけないかと思って、ヒヤヒャしただろう。
免税より還付が得?
ところで、免税店での売上は今期どの程度まで伸びそうですか?
このまま売れ続ければ、他の売上を上回るかもしれないな。
免税店売上の金額によっては課税事業者と判定した方が有利かもしれませんよ。
わざわざ課税事業者になるのか?
売上に占める輸出売上の割合が大きい場合は、仕入時に支払った消費税の
一部が還付される場合があります。
それで?
還付を受けるためには、課税事業者となって消費税の申告を行う必要があるんです。
つまり特定期間について、給与等支払額でなく課税売上高で判定して、
課税事業者になれば良いわけだな。
はい、さすが社長ですね。
この場合は「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を提出することになります。
じゃぁ、それで決まりだな。
届出書の提出は「速やかに」
でも社長、予想が外れて免税店売上があまり伸びなかったら、
免税事業者のままでいた方が有利かもしれませんよ。
それは困ったな。
免税店売上がどこまで伸びるかなんて予想もつかないからなぁ。
そもそも、その届出書の提出期限はいつまでなんだね。
「事由が生じた場合、速やかに」提出することとなっていて、期限の定めはありません。
ほう、期限はないのか!
免税店売上がどこまで伸びるか見極めてからでも遅くないということだな。
消費税の計算結果が出る申告期限ギリギリでも大丈夫です。
よし、提出の方は君に任せるが、税務署に出す時に
「遅くなりまして」なんて言わないでくれよ!
…大丈夫です。
電子申請しますので。
まとめ
- 特定期間(前年の上半期)の課税売上高が1000万円を超えたら、課税事業者になる
- 課税売上高に代えて、給与等支払額を使用することもできる。
- 輸出業などで消費税が還付となる場合には、課税事業者になった方が得
- 消費税課税事業者届出書(特定期間用)には、提出期限がない
基準期間の課税売上高が1,000万円以下で、かつ、特定期間の課税売上高と給与等支払額のうち一方が1,000万円以下、他方が1,000万円超という特殊なケースでは、免税事業者のままか課税事業者にするかを告期限ギリギリでも有利な方を選べます。
輸出をしている場合や多額の設備投資をしている場合などは、課税事業者の方が有利になる場合もありますので、詳しくは専門家にご相談ください。
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